Vol.3|イタリア・ミラノの空気感 〜街全体がデザインに染まる1週間〜エスプレッソとデザインのあいだで。ミラノが教えてくれた、日常を愛する技術」
ミラノサローネ2026レポート、いよいよ最終回です。
今回は、フィエラ・ミラノの展示棟を出て、ミラノという都市そのものが醸し出す、他のどこにもない独特の空気感についてお届けします。
実はこの「街の空気感」こそが、皆がミラノを何度訪れても、また来たいと思ってしまう最大の理由なのだと感じました。
ミラノサローネの真の魅力は、会場の外にあります。
「フォーリサローネ(Fuorisalone)」と呼ばれる市街地での展示が、この1週間のミラノを世界で最もエキサイティングな都市に変えます。
ブレラ、トルトーナ、5Vie、ポルタ・ヌオーヴァ…。
エリアごとに表情の異なる街並みで、歴史あるパラッツォ(邸宅)の中庭、普段は閉ざされている教会の内陣、古いガレージを改装したギャラリーが、この期間だけデザインの展示空間として開かれます。


重厚な石造りのエントランスをくぐり抜けると、奥の中庭には最新の家具コレクションやインスタレーションが、さりげなく、しかし確かな意志を持って配置されています。
数百年の歴史を持つ建築と、今年生まれたばかりのデザインが、まるで長年の友人のように自然な調和を見せている光景は、何度見ても胸が高鳴ります。
朝のエスプレッソスタンドは、ミラノのデザインウィークを象徴する場所の一つです。
黒いスーツに身を包んだビジネスパーソンと、大きなトートバッグを肩にかけたデザイナーが、同じカウンターに肘をつきながらそれぞれの一日を始めています。
バリスタが手際よく淹れる小さな一杯を、立ち飲みであっという間に飲み干しながら、「あのブランドの新作は見た?」「あそこのインスタレーションが話題らしいよ」と、情熱的な情報交換が行われています。
夜になると、街はまた違う顔を見せます。
ショールームやギャラリーではオープニングパーティーやトークイベントが行われ、ワイングラスを片手に、デザイナーやブランドの担当者、世界各地からの来場者がフラットに語り合っています。

そこでは製品のスペックではなく、「なぜこのかたちなのか」「なぜこの素材なのか」という思想が、熱を帯びた言葉で飛び交っていました。
印象的だったのは、多くの人が「暮らし」について非常に具体的に、そして愛情深く語っていたことです。
子どもがいる家庭での安全性、在宅ワークとオフタイムの切り替え方、高齢の親との同居、ペットとの共生。
新作のソファやテーブルを前にしながら、必ず「こういう人がいて、こういう一日を過ごしていて」というストーリーがセットで語られます。
ミラノの人々にとって、デザインは「モノ」ではなく、「暮らし方の提案」そのものなのだと、改めて確信しました。
食のシーンもまた、この街のデザイン文化を雄弁に物語っています。
ランチタイムのトラットリアでは、チェックのテーブルクロスの上に白い皿、その中心にシンプルなパスタやリゾットが盛りつけられ、その色彩と構成が驚くほど美しい。



器のサイズ、テーブルの木肌、ナイフとフォークの重さ、照明の明るさ。
細部まで「心地よさ」と「美しさ」のバランスが自然に整えられた空間は、食事そのものをひとつの体験として完成させています。
3回にわたる連載を通じて、私がミラノから持ち帰った最も大切なインサイトは、「デザインは、特別な人のための特別なものではない」ということです。
第1回でお届けしたように、ソファを壁から離して部屋の中心に置くことで生まれる「余白」は、誰の家でも今日から始められます。
第2回でご紹介したように、テラコッタのクッション一枚、オリーブのスツール一脚が、空間の温度を変えてくれます。
ミラノで出会ったのは、特別なものではなく「日常のすべてをデザインとして楽しむ」人々の前向きで豊かな姿勢でした。
そんな心地よい暮らしの温度感を、日本の住まいにも届けたい。
日常を少し豊かにするCofel(コフェル)の定番アイテムとともに、新しい季節の暮らしを始めてみませんか?
ミラノで感じた「日常をデザインとして楽しむ」心地よさを、あなたの住まいへ。
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